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手刷りのお札復活-疫神の侵入を防ぐ道饗祭-


古い箱の中から出てきた和紙には「久那斗神(くなどのかみ)」「八衢比古神(やちまたひこのかみ)」「八衢比売神(やちまたひめのかみ)」の三柱の神名が刷られていました。いずれも道の神様ですが「くなど」とは「来るな」の意です。この三柱の神々は、疫神や鬼といった悪いものが入ってくることを防ぐ「道饗祭(みちあえ)」の御祭神です。近くには作り損じと思しきお札も一緒に添えられていました。「御嶽神社御守護」と刷られたお札の神璽(神璽・かみさまのしるし)が、先ほどの和紙だったのです。

3月8日は上板橋・桜川に鎮座する御嶽神社の道饗祭と御毘射(おびしゃ)祭を行っており、この道饗祭でお札を配っていたということがわかりました。探すべきはこのお札の版木。お札の字は先々代以前の神職の字かもしれません。まるで導かれるようにいった先には、たくさんの古い版木がつまった木箱が!その一番上にあった小ぶりの版木には三柱の神様の名前が掘られていました。これでお札をまた復活することができます。

もともとこの道饗祭は村の入り口にしめ縄を張っておこなっていたといいます。この村でも疫病流行で人々が不安に陥った歴史があったに違いありません。初午祭のお札は今も、私たち神職の手作りで版木からお札を作っていますので、手順は同じように。お札の先端は剣先の形をしているようです。こうして、復活できたお札を御嶽神社の氏子さん方にお渡しできた喜びは一入でした。一日も早くこの不安な日々が終息しますように。


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