まちの真ん中に
- kobayasu
- 3月29日
- 読了時間: 2分
まちの中心にそびえたつ聖堂は、シュティフト教会といい、大学の創立者によって建てられた教会だそうです。重い扉を押して中に入ると、練習中の荘厳なパイプオルガンの音に包まれました。祭壇の上に広がる美しいステンドグラスに、空のように広く高い天井、荘厳な聖なる空間です。

まちを歩いていると、教会の鐘の音がしばしば聞こえてきます。日本での諸事情が頭をよぎり「教会の鐘の音で苦情がきたりしませんか?」とユリアさんに問いかけました。「ずっと昔からそうでしたから、生活の一部になっています。そんなことを言う人はいないでしょうね。」とのこと。愚問でした。翌日のカンファレンス会場は、教会のすぐそばにある大学の旧講堂アルテアウラ。発表中に教会の大きな鐘の音が響きわたりましたが、窓の近くの人が静かに立ち上がり、手慣れたように窓を閉じるのでした。


そういえば、ドイツの高速道路沿いには教会が何か所かありました。「ドライブしている人がいつでも誰でも祈りを捧げられるようにある教会です。」とユリアさん。この高速道路沿いの教会「アウトバーン教会」は、魂のガソリンスタンドと言われるのだそうです。(中川慎二「魂のガソリンスタンド:アウトバーン教会」チャペル週報、21 2007)こうした教会事情は、現地に行かなければわからなかったことです。

耳を澄ますと私たちの滞在するホテルの部屋にも、この鐘の音が届いていました。まちの中心にある教会と鐘の音は、この地に暮らす人々の心の真ん中にあるのでしょう。テュービンゲンに滞在していたのはわずか三日だけでしたが、凍えるような寒さのなかで鐘の音を聞くと、心が温まるような気持ちになりました。
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